□ 第1部 [ ベランダ ] □
□ Veranda □
(ベトナム編)
『潮と太陽』:B
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
「なんやねんこれー」
ヒロさんと僕は激しく打ち震えた。
「こ、これは…」
二人は唖然として、そのアルバムのページをめくる、めくる、めくる。そこにあらわれたのはめくるめく耽美なグラビア世界。
「これは一体…」
「雑誌に載ってるグラビアとちゃうんかなぁ、これ。なあ」
とヒロさん。僕には「はあ…」としか返すことができない。
そのアルバムに収められていたのは、このカップル二人のウェディング姿から日常生活(?)まで様様なシチュエーションを撮影したものだったのだけれど、いやはや、なんと説明したらよいのか、メイクはばりグラビアだし、ポーズだってグラビアだし、撮影技術だってグラビアだし…。明らかなプロの仕業です。
正直、「なんで????」という疑問符は隠せないけれど、とにかく、すごく綺麗だし悔しいけどかなり格好良い。(アジアの国々では、イベントなどがあると結構こんなふうにフォトスタジオ絡みで撮影をするみたい。衣装、化粧、ポーズをばっちり決めて…)
ある意味異常だ。
「これ、なんなんでしょうね」
と僕が聞く。
「わからん。わからんけどすごいな」
僕はカップルを見て、
「これ、すごく綺麗ですね。そしてクール。殺したい。」
と褒める。
なんかそんなことがあって、その二人と仲良くなってしまった。いや、とてもうれしいことなんだけどね。
「どこまで行くんですか」
「地獄までな」
「……、……」
「どこまで行くんですか」
もう一度聞いた。
「ニャチャンまで…。新婚旅行(と言っていたような気がする。正直に言ってよく聞き取れなかったし、婚約旅行と言ったのかも。日本にはそんなのないからわからない。お互い英語は母国語ではないのです)」
と答えた。
「ほぉ、良いですね。こっちは一人なんですけどねッ! 恨む。(←僻みや妬み、嫉みという)」
とにかくムカツイたので、二人の邪魔をしてやろうと思って、いろいろと話し掛けて、ベトナム語を教えてもらったり、数の数え方を教えてもらったりと、いつのまにか和気藹々な雰囲気が完成。
おいおい、邪魔するんじゃなかったのかYO!
とりあえず介入は成功。でもなんかそんなことを考えている自分が、途方もなくちっぽけな生き物に見えてきて、世界の中心で愛を叫んじゃうよ……。
突然ですが、いきなりマジメになってゴメンナサイ。やっぱり人種の壁を超えた友達って言うのは素晴らしいと思う。
そして嬉しいもんだねぇ。
言葉の違いや肌や目の色の違いは会っても、やっぱり同じ地球人だもの。
やっぱり人間だもの。
カップルとは一期一会になってしまったけれど、それでも僕は彼らのことを友人だと言える……と思う。
とにもかくにも、彼らのことはこの先、忘れることはないだろうねェ。
う〜ん、青春! 青春18切符!
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